高橋良輔が『太陽の牙ダグラム』(1981年 - 1983年)に引き続き手がけるTVアニメとして生まれた。
ダグラムで問題だった点としてサイズがある。ダグラムのサイズではコクピットから足元までの距離が遠い。そこで身長4mのロボットが制作側から提案され、スポンサーのタカラ側の承認を得た。もう一つの問題としてダグラムには顔がない点があげられた。解決策として制作側から「レンズ」が提案された。ザクのモノアイの発展である。これにはタカラ側から異論が出たが、玩具の試作で「レンズ」の回転ギミックが好評で受け入れられた。さらにタカラはダグラムでミリタリーに強い金型屋を押さえたため、複雑なデザイン造形が可能になった[1]。
一方で制作側がバトリングを中心に描く作品としたところ、タカラ側からは、よりミリタリー色を強めてほしいという要望が出された。
結果として両者の思惑はうまくシンクロ、劇中の人型兵器アーマード・トルーパー(AT)は「全高4メートル程度、主人公の乗る機体ですらも使い捨ての大量生産品」という、当時のリアルロボットアニメの中でも型破りのサイズ・設定となった。
1979年の『機動戦士ガンダム』に始まるサンライズのリアルロボット路線は本作で一つの頂点に達し、当時「リアルロボットアニメの最高峰」という評価が与えられた。現在でも本作を愛好するファンは多く、2005年に鍛造職人の倉田光吾郎が鉄素材で原寸大のスコープドッグ・ブルーティッシュ・カスタムを製作し、後に倉田本人にとっても予想外な「事後承認」の形でサンライズに公認されたというエピソードなどは、その象徴と言えるだろう。
一方、本作には様々なSF・冒険映画にあったシーンを巧みに翻案し(後述の「翻案元の作品」参照)、主人公キリコ及びパーフェクト・ソルジャーに超人的な性格を与えるなど、娯楽映画のダイジェストのようなエンターテインメントを狙った側面がある。全52話のTV放送を毛色の異なる4クール4ステージに分けたり、毎回のサブタイトルをシンプルな単語・熟語一つのみとするなど、小説のセンテンス的な作りも印象的であった。
シントニア タコス オイル マヤ吉 ケルン ミーハー ボタン たこいと デュアル アルル ライン アクサ ビー玉 ロコモコ ライフ テナー クチル トッププ ナズナ ロベニア シタニア キング ブルー レンド ハファダ シリア マリンホス タイトス リテール シラー カノープス きねづか ブダペ スノーグ チョウゲ フルタイ モミジ デブリ ブラッシ 深海魚 シルバー ビーテ トライ サイキック ブレッツ プルーフ すいか くもり ダッジ ミーア
過去の作品からの翻案部分の多さが批判されることもあるが、ファンの間では「これらはオリジナリティを損ねるものではなく、むしろ本作のアニメ史的な位置づけをユニークなものにしている」という肯定的な見方が強い。
ビデオ・DVDなどのパッケージ以外にも、UHF地方局やCS局でたびたび放送されており、ネット動画配信サービス(バンダイチャンネルなど)でも視聴可能である。
サンライズは『機動戦士ガンダム』などにおいて、自社製アニメのスタッフ以外の人間が他メディア(小説、漫画、雑誌やムックの記事など)で後付的に作成した非公式の設定については「映像化された時点で公式(オフィシャル)」という見解であるが、本作品の設定担当だった井上幸一は近年「ボトムズにオフィシャル設定無し」と発言している。
模型界でのポジションの概要
スポンサーとしては当初はタカラが提供していたため、同社から名作と呼ばれた1/24スコープドッグをはじめとする数々のATがプラキット化され多数流通したが、タカラのアニメ模型からの撤退により模型の金型はいくつかの模型社を転々とし、根強い人気にもかかわらずキットにプレミアがつくような時期が続き、ガレージキット化にも拍車がかかった。その中でプラキット界への進出を遂げたウェーブが、前述の1/24スケールキットに手を加えた「スコープドッグ・ターボカスタム」などを開発、好評を得た。そしてアニメキット界を事実上独走するバンダイが、傘下のエモーションレーベルからの作品DVD化とともに懸案のプラキット化権取得に成功、同社制作の初めてのOVA「ペールゼン・ファイルズ」登場のATを含む1/20スケールキットを発売、各社の開発競争に参入している。
スタッフ・キャスト概要
監督の高橋良輔、キャラクターデザインの塩山紀生、主人公の声を演じた郷田ほづみ、それぞれの代表作に挙げられることが通例である。特に劇団出身でコメディアンとしてTVデビューした郷田は、この作品がきっかけで本格的に俳優・声優としての道を歩き出したと言っても過言ではない。また各話担当作画監督の1人であったアニメアールの谷口守泰は本作での活躍が認められ、高橋監督作品『機甲界ガリアン』の中核スタッフを経て、やはり高橋が監督した『蒼き流星SPTレイズナー』においてキャラクターデザイナーに抜擢された。
「ボトムズ」という名称について
「ボトムズ」(VOTOMS)という名称は、ATの正式名称・Vertical One-man Tank for Offence & Maneuver(攻撃と機動のための直立一人乗り戦車)の複数形(-S)とされる(プラモデルの組立説明書の記述より)。
また同時に、スラング的な意味も持つ。脆弱な装甲、発火しやすいポリマーリンゲル液、コストを下げるため切り捨てられた機体の生存向上システム──人命よりも生産性を優先させたATはまさに“鉄の棺桶”とも言える代物だった。軍内部においても、搭乗者の生存率の低さから、AT乗り達は自らが乗り込むマシーンを自嘲気味に“ボトムズ=最低(bottom)の野郎ども”と呼ぶようになっており、そのため軍が“こじつけ”的ダブルミーニングを行ったと設定されている。
実際には「商標の関係で作品タイトルをBOTOMSにできなかった」という制作上の都合が名称(綴り)の理由である様だ。
TVシリーズ序盤、主人公のモノローグあるいは予告編のナレーションにおいて、ATを「ボトムズ」と呼称(それとともにATパイロットは「ボトムズ乗り」と呼称)する回が数回あったが、その後劇中でその名を聞くことはOVA『ペールゼン・ファイルズ』まで暫く無かった。
テレビシリーズ概要
テレビ版のストーリーは、治安警察と暴走族が牛耳る街「ウド」(第1話 - 第13話)、1960年代のベトナムやカンボジアを思わせる内戦地帯「クメン」(第14話 - 第27話)、砂漠の惑星「サンサ」(第29話 - 第39話)、キリコ出生の秘密が隠された惑星「クエント」(第41話 - 第52話)の4つのパートに分かれており、舞台が変わるごとに、市街戦・湿地戦・宇宙戦・砂漠戦など、様々なバリエーションの戦闘シーンを展開して楽しませる。
本放送中は放送時間枠などの問題もあり、平均視聴率は決して高いとはいえなかったが、AT・スコープドッグを始めとした玩具・プラモ関連のセールスが(前作ほどではなかったにせよ)好調であったため、打ち切られることなく4クールの放映を完了した。
シリーズ概要(TVシリーズ終了後)
TVシリーズで描かれなかった空白期や、過去の物語が3本のオリジナルビデオアニメ(OVA)としてリリースされ、好セールスを記録した。この人気を受け、外伝的作品『青の騎士ベルゼルガ物語』(小説)、『機甲猟兵メロウリンク』(OVA)が生まれた。さらに1994年には本編の32年後を舞台とする続編『装甲騎兵ボトムズ 赫奕たる異端』(OVA)がリリースされた。
2006年、模型雑誌で連載中の「装甲騎兵ボトムズ・コマンドフォークト」と連動したトークショーにおいて、高橋良輔監督によるボトムズ新作アニメを制作する事を発表、翌2007年2月のワンダーフェスティバル 2007では仮称題名を『装甲騎兵ボトムズ ペールゼン・ファイルズ』としキャラクターやATのビジュアルを公開、夏頃の作品開始を予定し進行中との情報が告知された。スタッフも当時のスタッフの殆どが集結している(一時WOWOWスクランブル枠での放送との噂も流れたが、OVAとして発売という形が取られておりTV放送は行われなかった)。OVAの『レッドショルダードキュメント 野望のルーツ』とテレビ本編の空白期間を舞台として描かれる。2009年1月17日には『ペールゼン・ファイルズ劇場版』が公開された。
また、2007年からは日経トレンディネットで、ペールゼン・ファイルズなどの制作現場やボトムズの次回作の構想を、高橋良輔が制作日誌的な小説にした「新・小説VOTOMSいちぶんの一」を連載中である。
この新アニメシリーズとは別に「日経エンタテインメント!」誌で高橋良輔が小説版ボトムズ・『孤影再び』を連載(「日経キャラクターズ!」誌からの移動)。『赫奕たる異端』の後の時代の物語で、第14回では、ペールゼン・ファイルズについて触れられており、メルキア情報相次官フェドク・ウオッカムの名が出てくる。
また、2008年にチャンピオンRED6月号より漫画『装甲騎兵ボトムズ CRIMSON EYES』(作画:杉村麦太 )が連載開始されている。こちらは主人公がボトムズ乗りの少女で、クエント人の女傭兵も登場する等(乗機は勿論ベルゼルガ)、ある意味前代未聞の異色作となっている。
同じように1980年代から長く続く『機動戦士ガンダム』や『超時空要塞マクロス』といったシリーズは、作品によってその都度主人公とメカ、それらが存在する時代や世界情勢などが目まぐるしく変わるため、ある意味で長期的な歴史の年代記のようなかたちになっているが、『ボトムズ』シリーズは百年戦争終結前後を軸に描かれており、作品間の時間軸が密接している。そのためどのシリーズも基本的にメカや設定などの世界観が一貫しており、32年後の『赫奕たる異端』においても大きな変化はない(ただし『青の騎士ベルゼルガ物語』の3・4巻の展開は、高橋良輔による正式な続編である『赫奕たる異端』とは全く設定が異なっており、パラレルワールドのような形になっている)。
そのなかで珍しい例としては、アストラギウス銀河の300年後の様子を描いた高橋良輔による小説『Equal ガネシス』(未単行本化)が存在する。ここではアーマードトルーパーは「ロボトライブ」と呼ばれるアンドロイド兵士に取って代わられている。